
かすかな光の縁をなぞるもの
浮上と沈降の狭間で、有機的な存在は現れては消えていく。岩に突き破られた海面、植物が点在する砂地、地表に触れる根、竹の間から伸びる若芽、森の樹皮に刻まれた細かな文様——それらの表層は、埋もれた連続性を想像させるのに十分なかたちで姿を現す。
深さと地平、影と光、不透明と透明。その境界に広がるリミナルな空間は、可視と感覚が出会う曖昧な輪郭を描き出す。
こうした関係性は、浮き彫りや痕跡が交錯する表面の探求によって明らかとなる。楮、竹、銅といった有機的かつ鉱物的な繊維が融合することで生まれるものだ。
幾重にも重なる和紙の層は、竹ひごの模様を包み込み、佐渡島の樹齢百年の杉の有機的な線や、新潟の海の反射をなぞる。銅の箔は竹の絡まりに沿って根のように配置され、表面を浮かび上がらせ、時に突き抜けていく。
透明性、影、そして反射の効果により、浮上と沈降の境界は溶け合い、淡く儚いリミナルな空間が現れる。
作品は、日本の伝統的な扇子、提灯、和傘の技法から着想を得ており、竹ひごを和紙の製作工程に直接組み込むという繊細な工夫が施されている。それは、植物素材のみで紙を漉く地元の和紙職人・田中氏の協力によって可能となった。また、銅と竹の細工は、鍛金とフランス彫金を得意とする作家・内山ヴェルガン綾夏との緊密な共同制作によって生み出された。この共同作業をもとに制作された作品は伝統的な燕三条地域の青色の着色技法をとりいれている。
このリサーチプロジェクトは、新潟県のゆいぽーと「アーティスト・イン・レジデンス 春の招待プログラム」の支援を受けて実施されました。
竹、銅、和紙、2025年
写真:中村修、ローレ・ジュリエン
写真提供:ゆいぽーと











Credits
| Photographs | Osamu Nakamura for YUI-PORT, Laure Julien |
| Project collaborators | Ayaka Uchiyama Vergain & Mr. Tanaka |